第3章 君を愛しているかららしい
「あなた、誰…?」
「ボクは……クロバカイトだ」
雰囲気からして快斗ではないと判断し、後退りしながら問いかけると、その口から発せられた声はまさに快斗そのもの。
とはいえ、その声にも感情が見えなかった。
うーん。このそっくりさん、見た目はまんま快斗だけど、喋り方が所々カタコトなのは何故?
人が変装してるなら、バレないようにもっとうまく喋りそうなものだが。
「本物の黒羽快斗はどこ?」
「クロバカイトはボクだ!でも、わからない…ボクは礼さんにどんな態度を取っていいか…」
……… 。
ボク…ですか……
その顔でボクとかさん付けとかされると気味悪くてゾワゾワするんですけど……
「礼さん、ボクは…」
余計なことに意識が逸れてしまった一瞬の隙に手を取られ、ぐっと引き寄せられる。
やばい。
そう思った時には遅く、腰にまで手を回され身動きが取れなくなってしまった。
「…離して」
「なぜですか?」
「なぜって……」
「わからない… 礼さんに対してボクは…」
言葉を交わしながら離れようと力を入れるも、ビクともしない。
顔と声は快斗と同じにも関わらず、掴まれている腕や腰には硬く冷たい感触が伝わり気味が悪い。
感触的にこの快斗を装っている人物は、ロボット、か。
至近距離から私を見るその瞳があまりにも冷たくて、一刻も早く離れようと藻掻く。
「もう!離してってば!」
「なぜですか?」
「なぜって……」
…ってまたこのやりとりー!?
このロボット、永遠とこのやり取りするつもりじゃないでしょうね!?
「…い、痛いから!…そう!痛いの!腕が!」
なんとか必死に訴えると、ロボットの力が緩まる。
その隙に慌てて振りほどいて距離を取った。