第7章 寂しい
ーー
「赤司くーん」
気づけば、さっきまで火にかけた鍋を見ていた真珠が僕の目の前で手をふっていた。
「起きてますか?」
「ギリギリ起きてるな……」
適当にごまかすと、すぐ興味をなくしたようで
「赤司くんが珍しく途方に暮れてるかと思ったんですが………」
独り言を言っていた。
バリバリ聞こえているが
ぼーっとしていたのは、お前たちのことを考えてたからだよ。
「グラタンがこんなに時間のかかる料理だとは思わなかった」
キッチンに漂うチーズの薫り
久しぶりに嗅いだグラタンの薫りだ←
それに話題を変えるように言うと、真珠は冷蔵庫から今日買ったじゃがいもを取り出していた。
「私の手際が悪いんです」
「ずいぶんと手慣れてるように見えたけど。見とれた」
「は…恥ずかしいこと言わないでくださいよ!
たどたどしいんで、あんま見ないでください………」
恥ずかしそうに、珍しく顔なんか赤くして。
そんな顔されると嫌でも見る←