第6章 触り心地
私が家を飛び出したときも、おばあちゃんは家にいなかった。
高校を卒業してから、あれよこれよと将来のことを勝手決められ始めて
で、おばあちゃんがいないうちに、飛び出したというわけだ。
お母さんも、普段おばあちゃんと一緒にいて関わることもなかった私に突然話しかけてきて
いきなり、婚約者だかの話を持ちかけてきて
本当に信じられない。
なんなんだ、婚約者なんて。
どこぞのお屋敷の話ですか?
私、そんなにお嬢様じゃないし
どうして名声だけで選んでくれた人なんかと結婚しなければならないんだろうか。
ありえない。
こんなときでも、おばあちゃんの顔が頭に浮かぶ。
ごめんなさい、おばあちゃん。
必ず、おばあちゃんにはちゃんと
いつかお話しにいきます。
ガッシャァァァァァァン!
………お風呂場から、とてつもなく大きな音が聞こえて
私は我にかえった。
「な………何事ですか……」
びっくりしすぎて、皮を剥いていたじゃがいもが手から滑り落ちた。