第9章 だったん
あの夜助けに来た王子様は怯えるお姫様に優しく言いました。
「助けに来ましたよ」
「フェージャ···?!···私····首輪が···やめて···」
王子様は服から取り出したビンを口に含みお姫様に飲ませた。
お姫様は頭が回らず、ただ···ただ···鳴いた。
首輪が揺れる。
起きた時
カチャ··。
「痛みはないですか?」
「····フェー···ジャ··?」
すり··。
「もう、怖くありませんよ。僕がずっと守りますからね」
「····もう、こわくない···?」
ギュゥ···
すり
「えぇ」
なんと言う事でしょうか、
王子様が毎回口に含んだ薬は
記憶が曖昧になる薬だったのです。