第1章 一
『今のアンタに、やっかみを気にしてる暇があるの?』
そう言われたことがある。
『誰かに妬まれる才能を捨てるな。誇りに思え!』
そうも言ってくれた。
私に向けられた底意地の悪さを一蹴して、いつでも味方でいてくれた。
『なに!アンタ、あのコンペ通ったの!?』
――は、はいっ――
『マジか!やったじゃん!!頑張んなよ!!大したことは出来ないけどさっ。私も精一杯協力するから!!』
――うぅ~っ、せんぱいぃぃ~っ――
「伊知子先輩、元気かなぁ」
佐助くんも現代に帰っちゃったし、友達が減ったのは寂しいけど、ここに残るって決めたのは私だから――
「……よしっ!」
もうすぐ、政宗の誕生日。
いつか袖を通してみたいって言ってた洋服を仕上げるために、私は針を持ち直した。