第1章 不機嫌の裏側〜爆豪勝己〜
「いえ、先輩。待ってて貰ったのは有難いですけど、寄るところがありますので・・・・」
そう言いながらそそくさと横を通り過ぎようかと思ったのに
グイっと手を掴まれた
「いたっっ!」
「あぁ、ごめんごめん。いいよ、寄り道にも俺、付き合うよ?」
絶対に悪いと思ってない口調で謝られて、断っても断ってもしつこい態度にも少しイラッとして
「1人で帰ります!離してください!」
バッと思わず手を振り払ったらカッとなったのか少し声を荒げて
「おいっ!待ってたのにそれはねーんじゃねーの!」
「・・・!っきゃっ!」
急に大声を出されたから驚いて後ろに下がったらつまずいて尻もちをついてしまった
「・・・・いたた・・・」
咄嗟に手をついたものだから手の平に擦り傷が出来てしまった
「あーあー、何してるんだよドジだなぁ」
差し出された手に反射的に構えてしまった
「・・・っ!・・・・・やだっ」
「おいっっ!何してやがんだっア“っっ!」
「えっっ⁉︎お前帰ったんじゃっ!」
「勝己!?え?何で?」
聞こえた声に驚く
「な〜んか嫌な感じがしたんだよ。時間潰してて良かったぜ」
「な・・・なんだよ、その野生的な勘はっ!」
「煩ぇっ!言いてぇことはそれだけか?このまま大人しく帰るか俺に粉々にされたいか選べっ!」
バチバチと両手から火花を散らして近づいてくる勝己に「ひっ!お・・思い出したっ!お前雄英高の体育祭で優勝したっ・・・」
「俺は思い出したくねーんだよっ!2度と口にすんなっ殺すぞっ!」
手の平の火花が更に大きくなると、慌てるように叫んでかけて行った
その様子をポカンと見つめている様子に気がつくと手の平の火花が消えて勝己がこちらに振り向いた
「・・・・帰らなかったの?」
「言っただろう、なんか変な感じしたんだよ」
「怒らせたと思った」
「・・・・・がガキ扱いしたからだろ」
「子ども扱いしたつもりはなかったの、ただ私が大人の振りしてただけ」
そう呟きながら俯くに勝己は手を差し出す
「大人の振りってなんだよ、最初からボーッとしてて全然大人に見えなかったぞ」
「だから挽回しようと大人の振りしてたのに・・・・本当は待っててくれるって言ったの嬉しかったのに」
「・・・・は?」