第9章 君の匂い HQ 日向翔陽
毎回毎回、冷たくしても笑顔で話し掛けてくる日向に戸惑った
元々 一人でいることに苦にはならない性格だったので人にどう感情を表に出せばいいかわからなかった
それに加えて上手い話術も知らないからあまり声も出さないでいたら いつの間にか遠巻きに見られるようになった
「え?だって先輩は俺の話ずっと聞いてくれるじゃん」
「でも、話し掛けても何も表情変わらないからつまらないでしょう」
日向に向かってそう呟くとは視線を反らした
今までは一生懸命話し掛けてくる人達に応えようと必死なだが頭の中でこう応えたら不快に思うかなとかこの応えは可笑しくはないかとぐるぐると考えていたら会話があまり出来なくなってしまった
その様子を話し掛けた人達は話したくないとか興味がないのだと勝手に判断されていつの間にか遠ざかられた
最初はも自分の判断を誤ってしまった事には後悔したが、だんだんと気にしなくなっていたのも事実で 気が付いたらあまり人と話さない笑わないクールビューティーにされていた
そんなコミュニケーション下手のに毎回楽しそうに話し掛けてくる日向が不思議でたまらなかった
そんなの言葉に日向はう~んと悩みながらニカッと笑顔を見せた
「何言ってんの?先輩、よく表情変わってますよ?」
日向の言葉に思わず何言ってるの?という風に目を丸くして日向を見るに楽しそうに日向は続ける
「先輩俺が話してるときにたまに顔が変わるよ?ほら、今だって変わった」
指差して笑う日向には自分の両頬を包む
誰が無表情って言い出したのだろう、こんなにも分かりやすく表情が変わるのに
勿論最初は淡々としている彼女に興味が湧いた
いつも一人でずっと話してるのを怒らずにずっと聞いてくれて、それが部分的にしか聞いていないと気付いていても話終わるまで待っててくれる優しい人だって感じた
実際に先輩は話終わったと判断した時にだけ「もう時間でしょ?」と口にする 決して話を中断して追い返しはしなかった
その分かりづらい優しさが嬉しかった