第8章 りんご飴〜爆豪勝己〜
後退りする彼女の後ろに立って威嚇する
すぐに逃げ出すモブの姿に安堵した
自分がこんなに不安になるような人間だとは思わなかった
きっとの側にいるから生まれる感情
多分彼女と出逢わなければ 恋をしなければ感じることのなかった想いに少しくすぐったい
俺がもうはぐれないように手を差し出すと嬉しそうに握り返してくれるその笑顔で気持ちが晴れるなんて重症だ
小腹が空いたと言うもんだから何か買って来てやると近くの公園で待つように行ったが 一緒に行くと言うので一瞬迷った
二人で色んな出店を回って決めるのも楽しいだろう だけど先程のようにはぐれて知らないモブに声を掛けられる姿を想像すると胸クソ悪くなる
だからここで待ってろと言い聞かせて1人で飛び出した
早くのもとへ戻りたくて最初にが言ってたアレ食べたいコレ食べたいなどと騒いでた焼きそばやタコ焼きを買って急いでが待ってる公園へと足を向ける
その時にふと目についたものに勝己の足が止まった
※ ※ ※ ※ ※ ※
「ほら、食えよ」
スズイっと目の前に差し出されたのは沢山の袋だった
「えっ!?こんなに食べきれないよ〜」
「ウルセェっ食い切れなかったら持って帰れば良いだろうっ!」
袋から取り出されたのは焼きそばやタコ焼きなどが食べたい食べたいと騒いでいた物が全部入っていた
「じゃあ、勝己くんと食べて余ったら明日の朝ご飯だね〜」
と何気なく言った言葉に勝己は僅かに赤くなった
「明日ってお前…」
「赤くなってるよ?勝己くん」
「なってねぇわっ!」
何で?という風に首を傾げる姿に慌てて勝己はそっぽを向いた
「そーいや赤っつったらデザート」
はたと思い出したようにパンツの後ポケットに刺していたモノを思い出しての目の前に出した
「勝己くんっ!これって…」
目の前に差し出されたのは目を奪われて立ち止まった
リンゴ飴だった