第8章 りんご飴〜爆豪勝己〜
それから私たちはずっと手を繋いでいた
時折 勝己が後ろを振り返って確認するからその様子に可笑しくて笑ったら逆ギレされた
少し小腹が減ったから何か食べようと提案したら俺が買ってきてやる!と近くの公園で大人しく待ってるように釘をさされた
一緒に行くよと言葉を掛けたが「あ"あ"?また逸れて俺の寿命縮める気か!クソっ」とよく分からない断られ方をしたのでそれ以上食い下がるのはやめた
きっと勝己なりに心配はしてくれてるのだろう
♯ ♯ ♯ ♯ ♯ ♯ ♯ ♯
人混みではぐれないように俺の裾を掴むがクソ可愛くて照れ隠しに無意識で歩く速度が速くなってしまった
ふっと急に掴まれている感覚がなくなった事に気が付いて慌てて振り向いたら そこにはいるはずの人物がいなくてサっと血の気が引いた
しまった!やっちまった!と思った頃には遅かった目の前にはの姿はなく はぐれたのだと瞬時に思った
慌ててポケットに突っ込んでいた携帯で電話を掛けるも聞こえてきたのは無機質な電源が入ってないことを知らせる機械音
再度ポケットに突っ込むと「クソがっ!」と零して来た道を走り出す
この吐いた言葉はに向けた言葉ではなく自分に向けて
何で振り向かなかった
何でゆっくりと歩かなかった
もしかしたらはぐれて不安がっているんじゃないか?
そう思うと気持ちが焦る
「クソっ!どこだよ」
言いながらキョロキョロと辺りを目を皿のようにして探す
本当はこんなハズじゃなかった
屋台を見て嬉しそうに笑うの姿を見たかった
同じものを見て同じ時間を共有して楽しいと思ってもらいたかった
そう思わせたいのも彼女だけ
それなのにいつも照れ隠しが入ってぶっきらぼうになってしまう
その結果がこれだ
どうか彼女が少しでも不安がっているだろう時間を早くなくしたくて必死に人混みをかき分けた
やっと見つけた会いたかった彼女の後ろ姿
だけど知らないモブ共がに手を伸ばしてるのを見て
頭に血が上ったのとはぐれたことに後悔した