第8章 りんご飴〜爆豪勝己〜
しまったと思った時にはもう遅かった キョロキョロと辺りを見回してもあのツンツン頭の姿はどこにもない
は慌てて連絡しようとバッグに手を突っ込んで携帯を探すも また重大な事に気が付いた
「…携帯忘れた」
そうだあの時に少しでも勝己の気が変わらない内にと焦って財布だけ突っ込んで出てきたんだと思い出した
これじゃあ、探そうにも難しいし この場でじっとしていた方がいいのかとオロオロとしていると後ろからポンっと肩を叩かれた
見つけてくれたんだと嬉しそうに振り向くとそこには知らない男の子が2人立っていた
「…あの…?」
「ねぇ、オネーさんもしかしてはぐれたの?」
にこにこと愛想よく話し掛けてくる様子には戸惑うように「はぁ…まぁ…」とだけ答える
「こんなに人が多いと大変でしょ?良かったら俺たちが一緒に探してあげるよ」
もしかしたら厚意で言ってくれてるのかもしれない
だけどまとわりつく視線に僅かに警戒心がよぎった
「いえ、1人で探せるんで」
そう言って後退りするにじりじりと近寄ってくる彼等に頭の中で危険だと判断した
「遠慮しないで 何なら見つけた後に遊ぼうよ」
言いながら伸ばして来た手から逃れようと思い切り後ろに下がったら ドンっとまた誰かにぶつかってしまった
「その手 それ以上伸ばしたら消し炭にしてやる」