第8章 りんご飴〜爆豪勝己〜
普段は乱暴、横暴さが目に付く彼であったがの事になると甘くなっている自分を自覚してむず痒くなってしまう
元々、勝己が一目惚れをして付き合い出したせいなのかどうしても彼女に対しては弱い
しかし いかんせん意地っ張りな性格があだとなって自分から誘うのも中々出来なくて当日まできてしまったのだが
これ見よがしにの方から話題を提供してくれたので興味ないフリして家を出たら嬉しそうな顔をして後ろを付いてくる様子にほっと胸を撫でおろした
勝己はあまり人混みとか騒がしいのとか得意な方ではなかった
だけどこうして足を向けたのは彼女の笑った顔が見たい ただそれだけだった
の為だったらどんな無茶ブリでも叶えてやりたいと思うのは相当彼女に溺れてしまった証拠なのだろう
こうやって隣ではしゃいでくれるのが堪らなく可愛い
「う〜ん…たこ焼きは外せないよねぇ…あっ!でもヤキソバも魅力的…」
隣でブツブツと呟く姿に呆れたような素振りを勝己は見せる
「…食いもんばっかじゃねーか、太んぞ」
「屋台の食べ物にカロリーを気にしたら負けなんだよっ」
「はっ、何と勝負してんだよ」
彼女の可愛い言動に思わず吹き出してしまった
「どーでもいいけど人 クソ多いんだからはぐれんなよ」
フイっと顔を反らして歩き出す勝己の後をは「じゃぁ、こうしてる」と言いながらシャツの裾をちょこんと摘んだ
その行動に勝己はクソ可愛いと内心思いながら それを悟られないように少し早足になってしまった
「わわっ、ちょっ勝己くん この人混みの中じゃちょっと早いかも」
人混みを慌てて避けながら思わず握っていた勝己のシャツを強く握ってしまった
必死ではぐれないように掴んでいただが ふと視界の端に映った懐かしい物に目が止まった
屋台の光の中で綺麗に紅く光るリンゴ飴
幼い頃に大好きで良く両親にねだったなと思いが巡ったと同時に無意識に足が止まっていたのだろう
対向者の人と肩がぶつかってしまった
「きゃっ…!」
「あっ、ごめんなさい」
ぶつかった相手はペコリと頭を下げて人混みへと消えたが
ふと気が付いた時にはシャツを掴んでいた手を離してしまっていた
「あれ?勝己くん…?」