第8章 りんご飴〜爆豪勝己〜
「見て見てっ!勝己くんっ屋台が沢山っ」
「騒がなくても分かるっつーのっ!」
嬉しそうにはしゃぐの横で勝己は屋台のある通りへと足を踏み入れた
結局、あの後 勝己はコンビニに向かうことなく この賑わっている場所へと足を向けた
本当は今日、祭りがある事は知っていたのだ
というもの ちょうど夏休みが始まる前にクラスメイト数人がワイワイとこの話題に華を咲かせていた
「ねぇねぇ、夏休み始まったらさ やっぱお祭りだよね〜」
クラスで1番賑やかであろう芦戸が楽しそうにそう話していた
「あっ、そういえば近所でも祭りがあんだろ?テンション上がるよな〜」
同じ様に上鳴が芦戸の言葉に賛同するように頷きながら話に乗っていた
「あっ、じゃあさ クラスみんなで行かねぇ?」
「いいねぇ お祭りだぁ〜」
切島がナイスアイデアというように提案すると麗が手を上げて喜んだ
「じ…女子の浴衣…萌え…」
「峰田ちゃんは少し黙った方がいいわ」
ふるふると打ち震えている峰田の後頭部を蛙吹が長い舌で叩いた
「おい、爆豪 お前も行こうぜ」
振り向いて切島が爆豪に声を掛けるも勝己はイスにもたれるようにふんぞり返りながら「興味ねぇ」とだけ言ってそっぽを向いた
「おいおい そんな事言うなよ〜せっかくの夏休みだぜ?」
「だからだよ、なんで貴重な休みをお前らで潰さなきゃいけねーんだよ!」
上鳴の言葉にガタンと立ち上がるとそのままカバンを持って出ていってしまった
残されたクラスメイトは「爆豪らしい」と思いながら再度話に華を咲かせた
一方 勝己の方はある事で頭が一杯だった それは年上の恋人、の事であった
初めて2人で過ごす夏だから爆豪なりに色々と考えていた
そんな中で聞こえた祭りの言葉
きっと連れていったら喜ぶ顔が目に見えて僅かに笑みが零れてしまった