第8章 りんご飴〜爆豪勝己〜
「ねぇ、勝己くん」
「イヤだ」
「酷くない!?まだ何も言ってないじゃない」
「言わなくてもその顔見れば分かんだよ」
ベッドに横になりながらダラダラと雑誌を読んでいる恋人、爆豪勝己はこちらを向こうともせずに言葉を返した
その態度に爆豪勝己に話し掛けた4つ上の恋人 は少し頬を膨らませながら眉を寄せた
「…じゃあ何言おうとしたのか当ててよ」
「チッ…どうせ今日の夜からある祭りにでも行きてーんだろ」
バサリと雑誌を閉じてダルそうに起き上がるとガシガシと頭を掻いた
「え"っ!何で当たったの!?」
まさか当たるとは思わなかったはビクっと肩を揺らした
「これ見よがしに机にチラシ置いてんじゃねーか」
クイっと勝己が顎で指したのはの背後にある机に置かれていた今日予定の近所であるお祭りのチラシだ
「えへへ」
「えへへじゃねぇ、どうしてこんなクソ暑い中人混みに行かなきゃなんねーんだ」
「それが夏のお約束というか…ってどこ行くの?」
折角 勝己と過ごせる初めての夏休みに思い出を作りたくて
バイトしているカフェに置いていた今日開催される近所のお祭りのチラシを目にして思わず持って帰って来ていた
勝己と出掛けるお祭りデートを想像しただけで顔がニヤけてしまったのだろう バイト仲間の夢ちゃんに「顔!顔!」と突っ込まれてしまった
そんな勝己は人の話を聞いてるのか聞いてないのかハンガーに掛けてあった白のシャツを羽織ると近くに置いてあった財布を無造作にパンツのポケットに突っ込んだ
「…喉乾いたからコンビニ」
「…?喉乾いたなら冷蔵庫にコーヒーあるけど?」
ボソッっと聞こえた声にはキョトンと首を傾げながら勝己に返事すると怒っているかのように怒鳴り返された
「うるせぇっ!俺はコーラが飲みてぇんだよ!付いてきたいんなら早くしろっ」
ドスドスと部屋を出ていく勝己の後ろ姿を見てはハッと理解した
普段はあまりコーラなんて飲まないくせに、いつもは1人でコンビニに行っちゃうクセに
付いてこいなんて…
素直じゃないなぁ
そう思うとは嬉しそうに近くにあったバッグに財布を入れて後を追った