第7章 独占という名の証〜相澤消太〜ホワイトデー編
「・・・・お前、教育実習の時を覚えているか?」
「えっ?勿論 みんなフレンドリーに寄って来てくれて嬉しかった〜」
そう言いながら思い出したようにむふふと笑うにピクっと消太の顔が引きつった
そのフレンドリーさが問題なんだ!と内心消太は思っていた
にこにこと常に笑顔で可愛いのは別にいい
ただ問題は生徒に愛想が良すぎるのが問題だ
明るくて気さく、おまけに生徒に分け隔てない そんなだから生徒からも人気が出てフラフラと寄っていく奴らがいる
年頃の高校生、憧れを抱くなんて一瞬だろう
そんな光景を複雑な気持ちで見ていた
今回もまた同じような気持ちで見ているだけはこりごりだった
「また雄英の生徒に会えるの楽しみ〜 何て呼んでもらおう〜親しみ易くちゃん先生?」
ケラケラと冗談交じりに言ってるも、ならそう呼んでくれと本当に言いそうだと思う
想像するだけで彼女を名前で呼ぶ様子にイラッとする
普段はヤキモチなんての前では見せないし、そんな素振りは見せないようにしていた
だって一々そんな事していたら格好悪いだろう?
それに何だか俺のキャラじゃないような気がしてなかなか表に出せなかった
そんな思いなんて露ほどにも思っていないは今だに自分の呼び方をあーだこーだ考えている
「ねぇっ!消太さんはどれがいいと思う?」
「あ?何がだ?」
こちらに顔を向けて聞いてきたにはっと意識を戻す。どうやら呼び方の候補を色々と提案していたらしい
「もうっ今絶対に聞いてませんでしたね?」
少し怒ったようにムッと顔を歪ませるには悪いが正直聞いていなかった
大体、呼び方なんてどうでもいい、生徒に呼ばせるのなんて一択しかない
「あのなぁ、仮にも教師になるんだから名字でいいんだよ、名字で」
消太の言葉に「え〜っそんなの可愛くない〜〜!」とガシッと消太の肩を掴むとはユサユサと肩を揺らした
名字に可愛いって・・・・消太は揺られながら僅かに笑ってしまった
「そんなに名字は嫌か?」
「嫌ですぅ〜っ!もう少し新鮮味のある呼び方がいいのぉ〜」
ユサユサと手を止めずに肩を揺らすに宥めるようにゆっくりと口を開いた