第7章 独占という名の証〜相澤消太〜ホワイトデー編
始まりはこんな2人のやり取りから始まった
「おい、考え直さないのか?」
「もう、消太さんそれ何回目?」
言いながら呆れた様な顔をしながら淹れたてのコーヒーを両手に持っては先にソファに座っている消太の隣に腰を下ろすと
目の前のテーブルに並べてコーヒーを置いた
ユラユラと淹れたてだと分かるくらい湯気が立ち仄かにコーヒーの匂いが消太の鼻をくすぐる
ここ最近同じようなやり取りを延々と繰り返している
その理由はが消太の勤務している雄英高校へとこの春から赴任して来ることが決まった
彼女は消太の後輩で学生の頃からの熱烈アピールで消太が高校の教師になると同じように教員になるために勉強して追っかけてくる様なガッツのある女だった
そんな好き好き攻撃を受けて来た消太だが、何年か前教育実習で来たに自分も好きだと実感して付き合いが始まった
好きだと自覚してしまったらの好き好き攻撃に負けず劣らず自分も大概だと思った
「別にもう一緒にいるんだからもういいだろう」
「何言ってるんですか?消太さんと同じ所で働きたいと思ったけど、学校の先生も夢だったんだから」
むぅっとした顔でカップに手を伸ばすの横顔を見ながら溜息をついた
付き合いだしてよくよく話を聞けば、俺を追いかけて教職を目指そうと思ったのも本当だが教師になりたいというのも彼女の本音だったそうだ
「だって、私の個性は学校の先生になる為にあるのだと思うの」と勢い良く話していたのを覚えている
彼女の個性は“翻訳” 相手の英語を個性で自分には日本語で聞こえるし、逆もまた然り 自分の言葉を英語に聞こえるように話せる
最初は外国行くとき便利だなぁなどと簡単に考えていたが 本人はこれは将来的に仕事に活かせる!と内心喜んでいたらしい
そんな彼女の言葉を聞けば、の夢を応援したい気持ちも勿論ある
好きな女だからこそキラキラと輝いている彼女は魅力的だった
だが
それはそれ これはこれだ
消太はに顔を向けると真面目な口調で口を開いた