第1章 不機嫌の裏側〜爆豪勝己〜
「・・・言われた通り来てやった」
「あっ!いらっしゃい。爆豪・・・君だっけ?ごめんねぇ、こんなお礼しか出来なくて」
ここはがバイトしているコーヒーショップ
あの後、お礼をする程体力が残っていなくて後日改めてお礼をするという約束で連絡先を交換して別れた
その後に何度かやり取りをして今日、のバイトしている店で好きな物を頼んでもいいという話で合意した
「はい、メニュー。どれでもいいよ好きなの選んで」
注文カウンターでメニューを広げて微笑むと少し怒ったような顔であれこれと指を指した
は指さした商品を伝票に書くと「飲みものは?」と進めた
爆豪君は小さな声で「コーヒー」と告げるとふいっと空いている席へと座った
その様子に近くで見ていた同じ大学の夢ちゃんがコソッとに耳打ちをした
「ね・・・ねぇ、あの子怖くない?本当に助けて貰ったの?」
「え?あ・・・うん。あの子がいなかったら私死んでたし、意外にいい子なのかもよ?」
「そ・・・それにしても怖いよ〜」
ビクビクしている友達に苦笑いをしながらコーヒーの用意していると、側を通りかかった1つ上の先輩が彼を見ながら首を捻った
「つーかさ、怖いうんぬん 俺、どっかで見た事あんだよなー」
爆豪君をじーっと見つめながらポツリと呟いた後くるりと顔をこちらに向けた
「そんな事よりさ、考えてくれた?今度デートしようよ。ね?」
ヘラヘラと向けられた顔にはうんざりしたような顔をした
最近いつもこうだ、普段はわからないところやミスをカバーしてくれる優しい先輩なのだが、いかんせんチャラい
やんわりと誤魔化してはいるがいい加減困る
大学でも先輩。バイト先でも先輩という立場ならあまり波風を立てたくないのがの本心
「あ〜でも最近課題が残ってて忙しくて・・・・・・」
「そんなの俺がちゃちゃーっと手伝ってやるよ」
ね?ね?と詰め寄ってくる様子に見兼ねた夢ちゃんが
「あっ!フードの準備出来たからあの子に持って行きなよ、ついでには休憩に入っていいから」
「あ・・・じゃあお言葉に甘えて」
するりと詰め寄ってくる先輩を交わし、自分の分の飲み物とコーヒーのトレイを持って彼の待つ席へと向かった