第1章 不機嫌の裏側〜爆豪勝己〜
「あ“〜疲れた」
少しフラついた足取りで歩道を歩く
肩にかかる髪を後ろに一つまとめにしてカバンを手にして帰路に着こうとしているのは
大学生のだ。
は近くの大学に通う学生で勉学の傍ら、近くのコーヒーショップでアルバイトをしている
普段はそこまで忙しくないコーヒーショップも、今日は近くでたまたまイベントがあったようで店内がものすごく混んだ
それを怒涛の勢いでさばいてきたは心身共に出し切った感がある
「あ〜でも帰ったら学校の課題「ーーおいーー」終わらせなきゃなぁ・・・あっそれと・・・・」
「ーーおいって!聞いてんのかよっ!」
ブツブツと一人で考え事をしながら歩くに誰かがグイっと腕を引っ張った
「もうすぐ・・・・へっ!何々!?」
突然腕を引かれて後ろに下がると、目の前を車が何台も走り抜けた
「・・・・信号 赤」
「・・・・あっ」
声をかけられ、顔を上げると、横断歩道の信号は赤だった
疲れてボーッとしていて、考え事をしていたから全然気が付かなかった
このまま進んでいたら確実に大惨事・・・・は想像したのかゾッと顔を青くしながら腕を引いてくれた人物にお礼を告げようと前を見た
目の前にいた人物はまだあどけない少年
ツンツン頭がとてもよく目立つ
なんだろう、助けてくれた人にこう思うのはダメなんだろうけど・・・・
目つき怖っ!
思わず後ろに下がってしまいそうだ
「下がんなや!死にたいのかっっ!」
「ひっ!滅相もございません!助けてくれてありがとうございます!」
いきなりの怒声に慌てて頭を下げる
「ただでさえボーッとしてそうな顔してんのにボーッとして車に突っ込むんじゃねぇ」
「なっ!・・・・・スミマセン」
カチンとくる物言いに言い返そうとするが、どこからどう見ても自分が悪い
「疲れててボーッとしてたの、本当に助かりましたっ!じゃあこれでっっ」
クルッと背を向けると早口でまくし立ててその場から早く立ち去ろうとするに少年は今度はガシッと手を掴んだ
「・・・・えと・・・・何?」
ゆっくりと振り返るに少年はニヤァっと笑った
「何かお礼っつーのが欲しいなぁ」
それがこの少年、爆豪勝己との出会いだった