第5章 書庫での出来事
こ、な、な…なんでこの体勢…?
これは…いわゆる…。か、壁ドン?
いやいや、壁じゃないから棚ドン??
いや、そもそもドンされてない……
もう頭の中はめちゃくちゃだ
抱きしめられんじゃないか…と頭のどこかで思う自分がいる
……信玄様の香りのせいか上手く息ができない
「これなら君でも読めるんじゃないかな?」
信玄様が数冊取ると、私に手渡した
「俺も漢方のこと少しは分かるから、何かあったら聞いて」
そう言うとニコリと笑って書庫を出て行った
「……はっ……はぁ〜〜…」
大きく息を吐いて
本棚に持たれかかったまま、ズルズル…と座り込んだ
一瞬の出来事だったかもしれない…けど、私には時が止まったように感じた
あの人一体何考えてるの…
渡された本を胸に抱きしめ、天井を見上げた