第4章 大人の情事
そうだ…私…部屋の戻り方も分からないんだった
幸村の後をトボトボついていく
「だから忠告したろ?」
「うん…。」
いまさら、幸村のあの忠告意味を理解した
「まぁ、信玄様だって織田の姫のお前には手ぇ出さないとは思うけど……いや、待て…信玄様のことだから…ありえる…」
何やら一人ブツブツ言いながら歩いていた、幸村が足を止める。
「とにかく!だ!信玄様には気をつけろよ。悪い人じゃないんだけどな…女の事となると…な…
?」
そう話す幸村の声がだんだんと悲しげになってゆく。
「……あぁ見えて、決して無理強いはしないからさ。根は、悪い人じゃないんだ…本当に…」
あれが悪い人じゃないっていうの?
じゃあどうゆう人が悪い人なの?
そもそも悪い人は人を拐ったりしないでしょ
理解不能…
この時の私は、幸村の悲しげな理由(わけ)を考える余裕もなく、ただ自分の置かれた状況に慣れるのに必死だった