第1章 甲斐の虎
「三成くん!」
あぁ…もうほんっと癒される…
エンジェルスマイルぅ〜〜〜
「なんだよ。三成。」
家康が嫌そうな顔して三成君を睨むけど、当の本人は全く気付いていない様子。
「家康様、そろそろ軍議が始まりますのでお呼びに参りました。
乃々様、家康様が仰った通り最近不穏な空気がありますので、城下に行かれるならお供をお付けしましょうか?」
「あ!大丈夫大丈夫!私なんて姫って柄じゃないし。どう見てもお姫様には見えないでしょ」
心配そうに申し出てくれた三成君に、アハハと笑って返す。
「乃々様。乃々様はご自分で気づいてないのでしょうか?
乃々様はご自分が思われる以上に…」
「大丈夫だよ〜!」
せっかく一人で町ブラしようとしてるのに、誰かに見張られるなんてごめんだ。
言いかけた三成くんの言葉を『これ以上の心配は無用です!』
と言わんばかりに遮る。
「そうですか…?しかし…」
「早く帰っておいでよ!」
まだ心配そうに口を開きかけた三成君を制するように
家康が空気を読んで話を終わらせてくれた。
「うん!わかった!!」
やった!!
何食べよう!!
この前見かけたお団子美味しそうだったなぁ
それとも…
むふふふふ…
と気持ち悪くニヤニヤ笑う私を置いて
家康は半分呆れ顔で三成くんはニコニコしながら軍議に向かっていった