第1章 甲斐の虎
家康との漢方の勉強の日々を過ごしていた、ある日ーーー
「乃々。今日は俺、軍議で忙しいから教えてやれない。」
「そうなの?」
「うん。だから、まぁあんたも今日くらい頭休めたら」
そりゃそうだよね。家康は本来武将で信長様の側近だもん
毎日、私に付き合えるわけじゃないよね
「じゃあ、城下に行ってもいいかな?」
ここに飛ばされて来てから、ほとんど漢方の勉強の毎日なんだもん
城下に行くときはいつも家康が一緒で、漢方のお店以外行ったことないし!!
こんなに頭使ってるんだから甘い物食べたーい!!!
疲れた脳には甘いものが必要です!!
「あんたって…本当、わかりやすいね。」
全部顔に出てるのか、目を輝かせる私を見て半ば呆れ顔の家康
「行くのは構わないけど、最近敵対する国の奴らが潜伏してるって噂あるから気をつけなよ。
あんた、一応織田家の姫ってことになってるんだから」
「えーー?心配してくれてるの?嬉しー!」
家康が私の心配してくれるなんて感動!!
そんな風に心配してくれるなんて、少し以外で、思わず笑み漏れる
「ば、馬鹿じゃなの?!あんたに何かあったら信長様が怒るでしょ!!…ま、あんたじゃ姫には見えないから、無用な心配だね」
お返しと言わんばかりに意地悪く嘲笑された
「あーーー!!!酷い!!!」
「おや。乃々様も家康様楽しそうですね。」