第3章 春日山城の友達
「それでしたら…」
急に襖がスッと開いて、少し大人っぽい女中さんが現れた
外で私と鈴ちゃんのやり取りを聞いて、黙っていられなくなったらしい
「それでしたら、乃々様にはこのようなお色の方が宜しいのでは?」
と言って濃紺の着物を差し出すと
今度は別の女中さんが現れ
「いえ。乃々様の肌の色にはこちらの方が…」
「その色では乃々様には少し暗いのでは?」
「もう少し華やかな…」
「それでは童のようですわ」
次々と女中さんがやってきて、私を囲ってあれやこれやと騒ぎ出した
敵国とはいえ、女っ気のないお城に姫がやってきて
しかもその姫君は行き遅れに近い年齢
さらには姫君にしては垢抜けない
戦国時代と言えども、いつの時代も女の子はお洒落が大好き
みんな、この垢抜けない姫君を変身させたくてたまらなくなったのだろう