第32章 ー番外編ー
「内容…は、お見せすることはできませんが…。ここまで大切に受け継いでいただき、ありがとうございました。」
「いえ。こちらこそ訪ねていただきありがとうございました。これで私たち武田の子孫も荷がおりました。鏑木様、会えて良かったです。」
晃と信篤は、どちらともなく片手を差し出すと、堅く握手を交わし別れた。
晃を見送る信篤に、息子の信が話しかける
「あの箱の中身、何が書いてあったのかなー。親父、気にならねーの?」
「……さあな。だが……あの言い伝えも、まんざら嘘でもなかったのかもな。」
信篤は、父から聞いた話をふっと思い出していた