第3章 春日山城の友達
「ねぇ鈴ちゃんちょっと教えてほしいんだけど…
ここの城主は信玄様なの?それとも謙信様…?」
「ここ春日山城の城主は越後藩主、上杉謙信様です。信玄様は織田軍に国を追われ、こちらに身を寄せていらっしゃるのです。」
『信長様を恨んでる』
政宗から聞いた話しを思い出した
「だから私を連れてきたのね…」
「乃々様…大丈夫です!きっときっと…いつか安土に戻れます…」
ポツリと呟く私に鈴ちゃんが、心配そうになだめてくれる
戻れる…?
戦国時代…人質を取るのは普通のことだ
政略結婚にも利用されていた
しかも憎むべき宿敵の寵姫ともなれば、そう簡単には手放すつもりはないだろう
「そうだ!!乃々様!!宴の為のお着物を選びましょう!!」
浮かない表情を浮かべた私が悲しげに見えたのだろう、鈴ちゃんが何やら思いついた顔で私に笑った。