第29章 過去へ
「せっかく生き延びたんだ。俺はこれから、もっと広いところに目を向けたい」
「広いところ?」
「ああ。弱者が虐げられることのない世を、実現する」
それって……
「信玄様の信念、でしたね……」
そのために信長様と対立し、信玄様は仲間のために戦い続けた
「そうだ。かつての俺には命の期限があったから、自分の仲間を助けることにしか手が届かなかった。だが、今、この両手には自由に使える時が余っている。君と過ごした五百年後の世では、誰もが平等に笑ってるように見えた。俺はそれをこの乱世でも、実現させたいんだ」
「信玄様…」
信玄様は、現代の景色を見て、そんなふうに考えてたんだ