第29章 過去へ
私も信玄様の望みを叶えて、ずっとそばで生きていきたい
これからの白紙の未来が知りたくて、信玄様に尋ねた。
「躑躅ヶ崎館に帰ったあと、信玄様はどうするんですか?」
「そうだなー。甲斐のことに関しては、部下たちに任せて見守ろうと思う。もともと俺がいなくてもやっていけるような体勢を整えていたんだ」
「それって…」
死を覚悟してたから、自分が居なくなっても大丈夫なように…ってことだよね
自分がいなくなる準備をしていた信玄様の気持ちを思うと、たまらなく切なくなった。
「そんな顔をするな。俺は今、君のおかげで生きてる」
「っ…だって」
頭を撫でられ、胸の中で喜びが弾けた。