第3章 春日山城の友達
「じゃ、決まりだな。」
信玄様が謙信様の肩をポンっと軽く叩く
「触るな。斬るぞ。」
「わかったわかった。
そうだ。たまには俺が鍛錬に付き合ってやろうか?」
私の腰から手を離すと、謙信様を連れてその場から歩き出す信玄様
去って行く2人の後ろ姿を残された、私と女中さんが呆然と見守る
不意にクルリと謙信様が振り向き
「次はないと思え。逃げれば貴様を斬る」
殺気を放ちながら、私に警告した。
この人、私が逃げ出そうとしてたの気づいてたんだ
「謙信!女子に殺気を放つな!!姫を部屋に連れて行ってやって」
信玄様は謙信様を窘(たしな)めると、怯える私と女中さんに優しく笑った。