第3章 春日山城の友達
ゾクリ…
白く光る真剣の美しさと、謙信様の色違いの瞳から放たれる殺気に背筋が凍る
2人のやり取りを青い顔で見ている女中さんの顔がみるみる青ざめていくのが分かった。
「ハハッ。お前は本当物騒だなぁ〜。可愛い女子がすっかり怯えているだろ。」
私たちの心配をよそにそんな殺気に動じることもなく、おどけて笑う信玄様
「姫だって部屋に閉じ込められたままでは息がつまるだろうと思ってな。
そうだ!姫も元気になったようだし、宴でも開いたらどうだ?」
「宴だと?なぜにこの織田の女のために宴など開かねばならん?」
謙信様が眉間に皺を寄せ理解不能と言わんばかりの表情を浮かべる。
「姫は客人だぞ。丁重に扱わなけりゃ失礼だろ。」
私が客人?どう考えても人質でしょ…?
「それにな…実は珍しい酒が手に入ったんだ。」
「珍しい酒だと?」
「そうそう。お前が言っていた例の酒だよ。西国の練貫酒が手に入った」
「…そうか。悪くない。ならば明日、宴の準備をさせよう」
信玄様の話を聞いた謙信様の眉がピクッと動くと、纏っていた殺気が消えたて、口元に笑みを浮かべると刀を鞘に納めた