第26章 もう一つの戦い
「分かっています…」
入院前の検査によると、信玄様の病名は、肺腫瘍だった。
良性の腫瘍だけど出来た場所が悪く、気道を圧迫して、肺炎を併発していたらしい。
腫瘍を取り除く手術をすれば完治すると言うのが叔父さんの見解だった。
手術自体もそこまで難しいものではないけれど…
自分の大切な人が手術を受けるとなると、こんなにも不安になるものなのかと痛感していた
「それに…俺にはこれがあるから大丈夫だ。」
そう言って信玄様が、ゴソゴソと取り出したのは…
あの時の、火打ち石と匂い袋だった。