第2章 春日山城の人質
手に持っていた器の水を口に含み
「…っん?!」
その唇を私の唇に押し付けた
その唇から水が流れ込んでくる
ゴクリ!!!!
身体が待ってましたと言わんばかりに、流れ込んできた水を飲み込むと
飲み込んだ水が身体に染み渡ってゆく
「……ん…!んん!!」
口の中の水は無くなって目的を果たしたはずなのに、唇は未だ塞がれたまま
小さく頭を振って抵抗する
「……はっ………!!!」
やっと解放されて大きく、空気を吸い込む
「もう一度飲ませてあげようか?」
腕の中に抱かれたまま、耳元で囁かれると
ドクンッ!!!
鼓動が聴こえてしまうんじゃないかというくらい、私の心臓が高鳴なった。
「ちゃんと自分で飲めるかい?」
悪戯な瞳が私の目を見つめる
咄嗟にコクコクと頷く
「良い子だ…。落ち着いたら粥を運ばせる。何かあったら女中に言うんだよ…お姫様。」
頬に軽く口づけし、私をそっと寝かせると信玄は部屋から出て行った