第24章 束の間の休息
胸に刻まれた手術跡。
薄くはなっているけれど、胸の真ん中縦に十五センチほどもある傷
私の命の証ではあるけれど、これは私が恋に臆病になった原因でもある
あれだけ愛されれば、信玄様が気にしているとも思えないのだけど…
そこはやはり女、実際どう思っているのか気になる
「信玄様は…気になりますか?」
意を決して、そのことを言葉にしてみる
「何がだ?」
「あの…その……」
言い出してみたものの、はっきり言えずモゴモゴしながら、自分の手を胸のあたりにもってくると
『あぁ』と言うような素振りで、信玄様がにこりと笑い
「それは君の命の証だろ。何を気にすることがある」