第2章 春日山城の人質
「姫。ご機嫌はいかがかな…?」
その声と同時に駕籠の扉が開けられた
逆光でその顔はよく見えない…
抵抗する気力もなく文句を言うことも出来ず、駕籠の壁に持たれたままグッタリする
私の青白い顔を見てその人物が声を荒げた
「おい!!!しっかりしろ!!大丈夫か?!」
その人にグイッと引き寄せられ、抱き抱えられる様に駕籠から出される
大丈夫…なわけ……ない!…でしょ…!!!
声にならない抵抗
薄れそうな意識に抗って、必死にその人物を睨みつけると
そこにいたのは…
あの櫛を手渡した男(ひと)……
あの戦で目が合ったあの男(ひと)…
武田…信…玄………
そして…私の意識はプツリと途切れた…