第2章 春日山城の人質
それから数日後
あの夜から信長様の夜伽は、五百年後の話しをすることだった
揶揄う素ぶりはあっても私には触れない
信長様なりに気を使ってるんだろうと思うと
その優しさが心地よくすらある
一度だけ信長様に、どうして敵を沢山作ってまで戦をするのか尋ねた。
「自分が見たい世を実現するためだ」
これからの日本は、異国とも対等に渡り合っていかなければならない。
そのためにはまず、日本を一つにまとめなければ勝てないだろう。
だから戦をするのだ
と、そう教えてくれた
この時代、みんな何かしら『信念を持って戦っている』ということを聞いて、少しだけ戦をすることを理解できた気がした
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なんかすっかりこの時代に馴染んできたな
城下を一人歩く私は、家康のお使いで薬屋に向かっていた
一人で城下に来るのも馴れたし
薬屋の店主ともすっかり顔馴染みだし
薬屋に向かう途中、チラッと飴屋が目に入る
あ!そうだ帰りに金平糖買っていこう!!
脳が疲れた時にパッと食べれて便利なんだよね
帰りの寄り道のこと色々考えていると、脇道から誰かに声をかけられた
「失礼ながら、乃々姫様でございますか?」
「はい?あの…?どなたでしたっけ?」
不意なことに思わず返事をすると、声を掛けてきたのは武士風の二人組の男だった。
全く見覚えのない男2人にキョトンとしていると
スッ!!!!
1人の男の手が伸び、叫び声をあげる間も無く口を塞がれた
ドスッ!!!
「っ!!!!!!」
みぞおちに鈍い痛みが走る…
ヤバ……だ……だれ…か…
視界が暗くなっていく途中、安土城のみんなの顔が脳裏に浮かんだ