第2章 春日山城の人質
私は生まれた時に心臓に穴が開いて、成長と共に穴が塞がるのを待っていたけど
その穴が塞がる様子がなくて、結局穴を塞ぐ手術をした
その手術をしてくれたのが叔父さんだった。
その叔父さんに憧れて医師を目指したのだ
叔父さんが助けてくれた命
この傷はその証だ
でも…思春期になるとこの傷がコンプレックスになっていった
着替えの時に、クラスの女の子にヒソヒソされたり
プールの授業で水着から少し見える傷跡を、男の子たちにからかわれたりして…
恋愛には憧れた時もあったけど、誰かと肌を重ねるなんて想像つかなかった
『気持ち悪い』
小学生の頃に男の子に言われた言葉
子供の言うこと…
気にしなければいいのかもしれないけど、大人になった私を今でもその言葉が縛る
そうこうしてる間に、気づけば二十四…
完全に拗らせた。
「お前が生娘なのはそのせいか」
「えっ?!」
「全て顔に出てるぞ」
「もう!信長様!!」
反論できずに赤くなった頰に両手を当てて、面白そうに笑う信長様を恨めし気に睨む
「もっと貴様のいた時代の話を聞かせてみろ」
「500年後の話しですか?」
「戯けた話に付き合ってやる。それとも夜伽の方が良いか?」
「いえいえいえいえ!!!いくらでもお話しさせていただきます!!!」
その晩、私は意地悪で優しい信長様と500年後の日本について話し続けた…