第23章 最後の戦い
「お前のせいで、私の計画はとん挫した。今度は、私の役に立ってもらうぞ」
「役に立つって……何をさせる気ですか」
「信玄に文を書いて説得しろ。信長を殺せと。自分の女からの嘆願なら、あの頑固な男も気を変えやすくなるだろう」
っ……そんなことできない。せっかく信玄様と信長様が戦わずに協力し合うって決断したのに
震える声で、懸命に言い返した。
「……あなたの言いなりには、なりません」
「勘違いをするな。お前に拒否権はない」
あっ
手にした錫杖で顎を上向かされ、闇色の瞳に捉えられる。
「時はある。必ずお前は私の言うことを聞くようになるだろう」
っ、嫌……
「また、来る」
顕如はすっと錫杖を離すと、立ちあがって、出ていった。
…………