第23章 最後の戦い
「これから大望を果たそうとする者が目先の情に惑わされるなど、愚かなことだ。信玄にいくら恨まれようが、私は構わない」
なんてことを……
「…信玄様は、あなたのようにはならないと言ってました。復讐に身を焦がす余り、大事なものを見失うのは御免だって」
怒るよりも哀しんでいたような信玄様の表情を思い出す。
「信玄様は、誰よりも情に厚い人です。だから、誰よりも強い。……あなたのことも、信玄様は恨んでないように見えました」
「っ……わかったふうな口を叩くな」
……っ
顕如の両眼に走った激情に、身をすくめる。