第22章 裏切りと同盟
「間に合ったようだな。貴様の考えなどお見通しだ、信玄」
兵を引き連れ、猛然と駆けてくる信長を目にした途端、信玄の眼に憎悪が燃えた。
「支城を落とすまでもなく、お前の首を落としてくれる。かかれ!」
「はっ!」
両軍は激突して、辺りは刀のぶつかり合う金属音と兵たちの怒号で満ちる。
信玄と信長は苛烈なつばぜり合いを繰り返しては、両者は互いに飛びのき……間合いを取った。
「顕如がお前の足止めをしてるかと思ったが、あの仕込み錫杖からは逃げのびたか」
「何を言っている。あの物騒な坊主とは会っていない。同盟者の貴様が腰抜けなことに気づき、今頃、逃げているのではないか」
信玄の言葉に笑みを浮かべて答える信長
「なに……?」
何かがおかしい—信玄の顔に疑問が掠めたその時、尾瀬の上から一斉に乾いた音が鳴り響き、両軍の上に銃弾の雨が降り注ぐ。