第22章 裏切りと同盟
「ならいいですけど…。無理をしないでくださいと言っても、無駄でしょうね」
「勝つために、無理はするさ。……ただし、死なない程度にな」
「……」
意外そうな顔をした幸村が、信玄に尋ねる。
「……信玄様、なんかあったんですか?」
「ん?」
「今日の信玄様、昨日までと違う気がするんですけど……」
「へえ、なかなかに鋭いな、幸。女心に関しても、それくらい聡ければ言うことないんだが」
「っ、今、女のことは関係ないでしょう」
ひょうひょうと受け流す信玄に、幸村が噛みつく。
「……」
その様子を見ていた佐助の口元に、小さく笑みが浮かんだ。