第21章 二人の想いは一つに
天幕を出ると、黒々と連なる峰の上に、ぽっかりと月が浮かんでいた。
「君と一番最初に、月見をした夜を思い出すな」
「そうですね……」
『おいで大人の駆け引きを教えてあげよう』
初めて月見をした時に言われたっけ…
こんな台詞言えるの信玄様だけだよ
思い出して、クスッと笑う
あの時は、信玄様のこと全然知らなかったな
横にいる信玄様を見上げると、私の視線に気づいた信玄様と目が合う
「あの時は、君をこんなに好きになるなんて、思ってなかったな」
「私だって…信じられません」
ここ数ヶ月で色んなことががおきて…
こんなに好きな人に出会うなんて…