第21章 二人の想いは一つに
「生きることを諦めた俺に…君が生きる望みを与えてくれたんだ」
こぼれ落ちる涙に口づけする信玄様の首に顔を埋める
「…君の時代に行って、俺が生きられるか分からないが、少しでも可能性があるなら…
俺は君との未来を選ぶ」
「…信玄様……私……この時代に来て…良かった…」
私は貴方に出会うためにここに来たんだ
「乃々、月見をしようか?」
「…え?」
見上げる私と、いつもの信玄様の優しい笑顔
「今夜は満月なんだ。気付かなかったか?」
「全然、気が付きませんでした…」
空を見上げてる余裕なんて、なかったから
「それはもったいないな。おいで、俺の姫君」
私が乱れた着物を着直して、身なりを整えると
信玄様が私の手を取って、優しくいざなう。
「…はい」
この手を、もう離すことはない
離さなくていいんだ…
絡めあった指先をギュッと握る