第20章 貴方のもとへ
笑顔だけど冷たく私を突き放す様な視線に、怯みそうになるけど…
負けそうな気持ちを落ち着けるよう、ゆっくり息を吸い
「言いたいことは色々あります。それこそ文句だって山ほど。でも今はこれだけです。……もう一度、お逢いできて嬉しいです、信玄様」
色んな感情を乗り越えて、私は心からの笑みをこぼした。
会いたかった…貴方に……
そうして、信玄様の前に膝をつくとその頬に手を添えた
私の笑みを目を見張るように見つめた信玄様が、
「……君をさらうんじゃなかった。こんなに良い女だって知ってたら……遠くから眺めて楽しむだけにしといたんだがな」
髪をかきあげながら俯き……少し悔しそうに呟いた
「最初はちょっかいをかけるつもりだったのに、気付いたら本気にさせられて……君を愛さずにはいられなかった。例えこの先、俺がどうなるとしても–––」