第20章 貴方のもとへ
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そして、武田・上杉軍の陣営では–––
謙信と信玄がともに猛攻を振るっていた。
「顕如の奴は、見事役割を果たしてくれたようだな」
三ツ者から報告を受けた信玄が、謙信を振り返る。
「俺としては狩場を荒らされた気分だがな。手ぬるい…独眼竜ならば、遊びがいもあるものを」
細身の身体にそぐわない強烈な一撃で織田軍の兵を吹き飛ばしながら、謙信がぼやく
「戦好きもほどほどにしておけ。長生きできないぞー」
のんびりとした口調とは裏腹に、信玄は力強く大太刀を振る。
「……」
謙信は何か言いたげな顔を、一瞬だけ信玄に向けるけれど……
「戦わぬ人生など、死んだも同然」
すぐに冷めた表情に戻って白刃を握る。