第19章 真実
「貴様を安土からさらったのも、送り帰してきたのも、信玄だったな」
その名前に胸がチクリと痛む
「…ええ…そうです…ね」
「あの男と戦う理由が、またひとつ増えたようだな」
そう言うと信長様が、愉しげに笑った。
「もう……冗談はやめてください」
「まあ、良いだろう」
信長様は再び、褥にごろんと横になると私に優しく微笑む
「さて、久しぶりに貴様の時代の話でも聞くか」
「…はい。」
信玄様に出会って、恋をした記憶は忘れなくていい
それでいいんだ
私は、信長様のおかげで気持ちの整理が少しついた