第19章 真実
あれ…?
怒った?
可愛いなんて言ったから?
「…怒った?」
気まずい雰囲気に、少し見上げて家康の顔を見ると不意に顎を掬われて
「…可愛いって何?…俺、女じゃないけど…?」
少し色めいた、翠色の瞳が私を見つめた
「…家康?…それは分かってるよ」
きょとんとして、その瞳を見返して答えると
はぁ……
私の反応に家康がため息をついて、顎から手を降すと少しうな垂れる
「…ごめんね?可愛いなんて…」
武将だもん…可愛いなんて言われたら、嫌だよね
「…あんたって……」
「うん?」
言いかけたところで、フッと諦めたように笑うと、私の前髪をかき上げ
「……おでこ…怪我してる」
引き出しが当たって、赤くなったところに
そっと、優しく口付けた