第19章 真実
え……?
あまりに急なその行動に、思考回路が止まる
「…ははっ。なに、その阿呆みたいな顔。」
呆然として、動きの止まった私に家康が笑う
「…だ、だだだだ、だって!」
口づけされたところを押さえて、意味がわからないと慌てふためいていると
「…可愛いなんて言うから。仕返ししただけ。」
「…は?」
悪戯っ子のように微笑み、スッと私から離れ机の前に座った
「…も、もっーーーー!!!家康までやめてよね!!」
揶揄われただけと分かって、赤い顔で抗議しようと口を開く
こんなことするなんて、これじゃあまるで
「しんげ……」
心で思ったことが、そのまま口から出かけて……
慌ててその言葉を飲み込む
「……ま、政宗じゃないんだからっ!」
床に散らばった、漢方を集めながら咄嗟に言い換えた
「……政宗さんね。」
家康はすりこぎ棒を動かしながら、その言葉にチラッと私に目をやって
「一緒にしないでくれる?」
それだけ言って、何事もなかったかのように再び漢方をすりつぶし始めた