第19章 真実
『なあ、乃々……俺が君といられるのは、あと何秒なんだろうな』
…私たちが一緒にいられた時間は、何秒だったんだろう…
楽しかった、春日山の日々を思い出しそうになって…
慌てて頭を振ってそれを追い出した
そんなこと思い出してどうするの?
もう二度会えないのに…
安土に帰って来たんだから、みんなのためにもちゃんとしないと
邪念を振り払うように、薬棚の一番上の引き出しに手を伸ばす
少し高いその引き出しの取っ手を指先でかろうじて引っ張る
あと…少しっ……
とういうところで、引っ張りすぎた引き出しが抜けて、頭の上に落ちてきた
「きゃ!!」
バサバサッ…
ゴッ!!
「痛っ!!」
引き出しは見事にひっくり返って、私は漢方を頭にかぶったうえに
落ちてきた引き出しがおでこに当たった