第18章 別れの時
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乃々を乗せた駕籠が出発すると
「…幸村様っ……これでは、あまりに乃々様が不憫ですっ!!」
鈴が幸村の腕を掴んで訴えた
幸村は黙って、小さくなってゆく駕籠を見つめる
「…の…乃々…さまっ…かわい…そ……」
「…やっぱり、あいつ信玄様のこと好きだったんじゃねーか」
乃々の気持ちを唯一知る鈴は泣きじゃくり、幸村が小さく呟いて鈴の頭を撫でた
「…謙信様」
佐助が謙信に声をかける
謙信は結ばれた2つの袋を幸村に差し出す
「…お前が信玄に伝えろ」
「…わかりました」
「戦の準備をさっさと進めなくてはならん。存分に働いてもらうぞ、佐助」
幸村がそれを受け取ると謙信はそう言って、ひらりと身を翻し城へ向かった