第18章 別れの時
三ツ者と別れたあと、信玄は謙信と稽古場にいた
「お前が俺との鍛錬に付き合うなどと…珍しいこともあるものだ」
「…最近、動いてねぇからなぁ。身体が鈍っちまって」
何かやってねーと、乃々を思い出すからな
話しながら息継ぎでもするように、謙信の鋭い斬撃が次々と信玄を襲う。
それを軽くいなしながら、信玄は笑みを浮かべた。
「それだけか?」
その言葉に昨日、抱きしめた乃々の顔を思い出す
一瞬…乃々に…受け入れられるかと…思った……
一歩踏み込んだ謙信が白刃を横なぎに振るった。
「……っ」
渾身の力でそれを受け止めた信玄が、わずかに顔を歪める。