第18章 別れの時
ーーーーーーーーー
翌朝、信玄は三ツ者の一人と話していた
「……顕如が?それは、確かな情報か?」
三ツ者の言葉に信玄の目が見開かれる
「…はい。…隙あらば、戦の混乱に生じて乃々様を狙っているようです……」
協力すると言っておいて…
喰ねぇ奴だ
『私も是非、その美女に会いたいものだ。』
顕如との別れ際の不適な笑みを思い出した
あの腐れ坊主…
信玄の奥歯がギリリッと音を立ててきしむ
どのみち、甲斐は信長との戦いで相当の戦火になる
乃々を戦場に連れていくわけにもいかねーし
ここに置いて行けば、城が手薄になったところを顕如に持っていかれるかもしれねーってことか…
どっちみち、乃々を危険に晒すことになる
………信長のところ…なら
信玄は何か諦めたように目を伏せた