第17章 隠された半月、半分の心
「……お願いっ…します!…じゅ、十秒…だけ…」
後ずさりしながら、しどろもどろに答えると
信玄様が怪訝な顔をする
「十秒?」
あ…!
この時代に秒っていう、単位はないんだった…
「…その…すごく短い時の単位で…私の故郷では使われてるんですっ…」
500年後から来たことをバレないよう、しどろもどろ説明する私に信玄様がさらに近づく
「君は本当に一体、何者なんだ?……君について何ひとつ出てこない…まるで君の存在自体がこの世になかったかのようだ。君の故郷というのは、一体どこにあるんだ?」
「それ…はっ…」
口ごもる私を、信玄様は宥めるように声をかけた。
「言えないのなら、それでもいい。俺も君にすべてのことは言わない。お互い秘めごとが多い方が、男女の仲は盛り上がる」
私たちは…秘密がある限り……本心で寄り添えない…